8月23日(4日目)石は日本に戻りたいのか、それともここにいたいのか

今日は地面にあったものに対して私達がどんな想像や気持ちを抱くのか、そんなことについて考える時間を共有したのではないだろうか。今日の記事のタイトルはその時間の中で私が抱いた疑問だ。日本に興味がある人が多いため「日本に行きたい!日本に行こう!」そんなこと葉を聞いていたからかもしれないが手を離すと地面に落ちる日本の石を想像しながら考えた。

初めて1人でバスに乗った。地図を指しながらの片言のスペイン語、通りの名前やグラフィティを頼りに30分ほどでCaminosへ。




地球の反対側の石ころ
教室に入って整備をしているとCaminosの講師や入所者がきて声をかけてくれる。ひとまず並べてみた素材や採集物をみながら話をする。今日何をするのか特に決めていなかったのでそんな感じでゆるくスタート、と思っていたらぞくぞくと人が部屋に集まってくれた。普段クラスを持っていない校長先生のパブロさんも一緒だ。

さて、今日はノープラン。まみさんもいるしパブロさんもいる。思い切って折形の話をしてみることにした。

私の机には日本の小石があった。今回の来る直前に手に入れたものもあったが今日使ったのは数年前の夏に川遊びに行って拾ったものだ。まずはその石の紹介、地球の反対側からきていることや小さなエピソードを。その石の中から気に入ったものを一つ選んでもらった。なぜその石が気になったのかなど、私の言葉をマミさんがアルゼンチンの言葉に、その言葉をさらに砕いてパブロさんが話す。そんな助けもあってただの石ころがみんなにとって特別なものになっていった。そこで折形の話をする。その石ころを誰かのためにみせてあげるための1枚の紙を渡す。今日は懐紙を使ってみた。

ふわっと半分につまんでから左側を上にずらすと嬉しい気持ち、下にずらすと悲しい気持ち。

言葉が通じなくてもこの形の意味を知っていたらその日の気持ちがわかるね、とパブロさん。みんな折れたところで今度はひとりずつその紙の上に石を置いてみることにした。ただぽろっと置くのではなくて気持ちを込めて。その仕草が人それぞれ。胸に手をあてながら置く人、全く音をたてずにゆっくり静かに置く人、手からこぼれるように置く人。その一瞬一瞬が非常に味わい深い。私は今日は嬉しい気持ちを込めて折りましょうと言ったけど、悲しい気持ちの人もいた。お友達と会えなくなってしまったのだという。上の写真はその方が折って石を乗せたもの。




こんな時間を2コマ分のクラスでやたせてもらった。2コマ目のグループに話す前に選ぶ石を並べるのを手伝ってとお願いし手伝ってくれた女性が並べてくれたもの。並べ方の指示はしなかったのでこれをみてびっくり。なんだか文字みたいだ。彼女は普段も石集めなどしているらしく家でもちょっとかわった風に並べているらしい。


石、選ぶの結構早い。


お昼前の机の様子。バラが一輪あるのは昨日、トマトをくれた方が今日持ってきてくれたもの。他の方は上の農園でとれた唐辛子をくれた。



気のせいかな?食堂でご飯を待つ間、向かいの席の方が紙を折って渡してくれた。偶然かなぁ、ちょっとかいしきみたい。





こと葉とツタの葉
ご飯の後、文学のクラスに参加。サプラズがあるよと言われクラスに入ってみるとこんなギフトをくれた。紙は凧紙?と呼ばれるものらしくちょっと透けている。きれいに折り目をつけて包んでくれてかわいいヒモで結んである。「日本の折形じゃないけど…」というが十分気持ちの伝わるものだった。ちなみに先生たちは折形についてたくさん予習してくださっている。開けてみるとこのクラスで作った俳句集だった。何と…。クラスからのリクエストでそれぞれの詩を日本語で朗読して欲しいと。すでにマミさんが翻訳してくれたテキストが一緒にプリントされていたので私はそれを読んだ。翻訳された日本語は当然575にはならないのだが短い“こと葉”の連続から凝縮されたイメージが湧いてくるものだった。この俳句を詠んだのは昨日教えてもらったツタの葉のテラスの前で葉が紅葉していた季節だったそうだ。今はツタの蔓の部分だけになっているので余計に情緒がある。実はそのツタの壁について一つ小さなプロジェクトができるんじゃないかなぁとぼんやり思っていたのだけど既にこんな素晴らしい試みをしていたなんてと感動してしまった。



アートのクラスのシンハさんの提案で今日も散策へ。出発前に私がこちらの地面に興味があるとこを話させてもらった。そしてみんなやっぱり楽しそうだ。なんでだろう。その楽しい気持ちが伝わってきて私もまじで楽しいのだ。

戦争で亡くなった方のことが書いてある地面。

いいもの集めてる。






こちらは採集物の一部。もらえると思ってなかったけどどうやら私がもらえるらしい。私自身は壊れた地面のタイルや葉っぱを運んでいた蟻から搾取した葉と枝を集めた。


今日、まみさんがいない間にある男性が私に話かけてきた。身振り手振りしながら、アーニャという私が知っていること葉がでてきたのでもしかしてと思い絵で描いて確認した。

“ 明日は雨が降るから傘が必要だよ。”

多分そんなことを言ってくれたんだと思う。2日連続マミさんに通訳してもらいながら過ごしたが明日は試しに1人で行ってみる。傘を持って。