大阪に友人を訪ねて旅をする予定だった。一日余裕があったので京都に立ち寄ることにした。私がアルゼンチンに何を携えていくのだろう、というところで茶道の話が上がっていたので茶道に関する何かに出会えそうな京都へという感じ。といってもノープランではいろいろ見逃して普通に観光してしまいそうな気がしたので二箇所ほど目的地を決めた。
一つは京都を度々訪れている知人に紹介して頂いた無鄰菴へ。お庭には茶室もある。
はじめの入り口をはいると「落椿がみられるかも」といったような言葉が書かれた案内があった。「〜が見頃です」といった案内はよく見かけるが落椿の案内は初めてだ。
チケットを購入して庭へ。飛び石によってリズムよく歩ける地面ですいすいと中へ引き込まれる感じだ。すいすい歩きつつふと止まると川の流れに気がつく。歩く、止まる、その関係がいい。
この無鄰菴ではお抹茶が頂けるということで注文してみた。
お菓子は真盛豆という歴史のあるもの。豊臣秀吉も賞賛したとか。
お抹茶を頂く所作も知らないので緊張しながらも一人抹茶を楽しんでみる。
あぁ、、美味しい。
美味しくてとろけて自分が土になりそうだ。なんか土に近づけそうなくらいだ。なんせ抹茶は地面から生えてきたものだから。そして真盛豆もこれまた地面の一部のようなお菓子。その姿をしばらく眺め、カメラにもおさめてから頂く。
建物の中も少し歩くと原木椎茸がそのまま生けてあったりして面白い。
そしてこの重石が目を引く。
しばらくして、無鄰菴の外から聞こえてくる車の音などに気がついた。庭に入ってから外の音などに全く気がつかなかったことに驚く。
その後しばらく庭を歩く。落椿には出会えなかったが落馬酔木に出会った。
同じ敷地内にある洋館でお庭の手入れについての展示。現在、ここを管理されている植彌加藤造園さんの庭師さんたちが庭に勝手に生えてくる野草たちの観察をよくされているようで野草の名前と花期などもちゃんと記録されている。タネツケバナ、スズメノヤリ、ヒメスミレ、マツバウンラン、ノシバ、ヒナギキョウ…。
無鄰菴あとにして次の目的地茶道資料館へ。
絵巻物や茶道具の展示を見る。絵巻物は茶会の様子などが描かれたものなど。茶道を楽しむ人のいろんな姿、空間、時間が描かれている。それらが変化しつつもこの文化が現在まで繰り返されている。私以外の鑑賞者の殆どはお着物を着ていること、お話されている内容からどうやら茶道をされている方と思う。この絵巻物を開き続けた先にこの方たちがいるのだなと思うと私はその絵や茶器よりも同じ室内にいるその人らに興味が湧いた。
そういえば、いろんな場所で話のネタに“茶道”という言葉を声にしていたのだけどその場の誰かしらが「あ、確か誰々さんが実はお茶を教えてるよ」とか「昔やってたんだけどね」とかそんな話がでてくる。私が知らないだけで身の回りにたくさんの支流が流れているようだ。その支流は海から来たのか、海へ行くのかなどと考えてみた。