8月2日 国内研修 折形 1日目 折形によって描かれる時間

折形が作り出す時間というのは折る時間だけではない。まずは、折る前にすることがある。

お清め
折るための机、部屋、をお清めすることから。お清めで使用されるのはお塩と白い道具。塩が解かれた水を使って机や床を水拭きする。使用した布巾などは一度だけの使い切りが望ましい。また、折る人間自身も塩でお清めする。なぜそのようなことをするか。その理由は折形が本来、神仏にお供えをするためのものだからである。神社にお参りする前に手水舎で手を洗ってからお参りする、その感覚に近い。お清めについて学んだ後、折形についての座学(紙について、起源について)をきく。

白い紙
折形で使用する紙の種類はいくつかある。最もランクの高い紙は“ 檀紙(ダンシ) ”。触ってみると生き物の皮に触れれたような感じがした。檀紙の“檀”はマユミという木のことだ。紙の表面がマユミの樹皮に似ていることからその名がついたそうだ。マユミは花がとてもかわいらしく、つい花ばかりに注目がちだったので次回この木に出会ったら樹皮も確認してみたい。
よく使用されているのが“ 奉書紙(ホウショシ)”。この紙は元々幕府の公文書等に用いられていた紙だ。
そして半紙。半紙には漢字用、かな用などがある。厚めの漢字用が折形に適している。
茶道で用いられる“かいしき”も折形の一種。そこでは懐紙や正方形で紙の縁が食紅で着色された縁紅紙などもが使われる。
おおよその紙のサイズはそれぞれ決まっているが折るものに合わせて紙のサイズを調整して使用されることが多い。

起源
根源的なところまで探ってみると起源については明確ではないようだ。かいしきに関していえば、神仏へのお供えの下に葉っぱ(柏など)や貝殻をしくこともそのはじまりと考えられている。かいしきを敷くことでその場が清められひとつの世界をその場に作り出す。
その清められた場に自然の恵みをお供えする。神様あるいは自然そのものに対する思いが形になっていった。
その後時を経て、室町幕府の礼法の一環として折形が制定された。神仏のみが対象ではなく人に対する贈答の際にも折形が用いられるようになった。


熨斗
「お熨斗はいかがしましょう?」の熨斗のこと。現代ではのし紙と言って紙に水引と熨斗鮑が描かれたものを贈答品に巻きつけるスタイルが多く見られる。これは略式であり外熨斗という。本式は内熨斗。


その後、7種の折形を実際に折る。折る順番などは長田氏の本にも書かれているので私も研修を受ける前に家で折ってみた。だが実際、折形の背景にある思想 を元に折ってみるとより豊かな時間を得て折られていくことがわかった。紙の角に太陽を想像してみたり、指先に神経を集中してみたり。