8月29日(10日目)私が諦めた日、でも勇気が湧いた日


↑ガールフレンドに送る花の包みと両輪結び


何度も自分の中で繰り返す、折形で大切なのは送る相手に対する気持ちである。だから、ただ素材を渡して折る順番を教えるだけではそれは別物になってしまう可能性が高い。なぜ、なんのために折るのか、それを出来る限り共有したいと思っている。もしもなぜ、なんのために、が共有できなくてもその所作から普段とは違う異質な雰囲気が伝わればいいな、そんな風に思ってる。
はじめの1週間、まずはお互いを知る時間として過ごしたわけだがいよいよ2週目ということになって若干の焦りがでた。Caminosに来てほとんど折形を折っていない。2日目のかいしきくらいだ。今日、撮影があると聞いてちょうどいいタイミングだと思い今日、2グループでそれぞれ別の包みに挑戦してみることにした。

一つ目のグループはガーデニングのクラスだったので育てている作物の中に唐辛子があるので唐辛子の包みをやってみることにした。このクラスでは作物を育てる鉢を街中でみつけた廃材をリメイクして作っていたり、蔓をはわせる紐はペットボトルをカットしてできていたり。今までみた畑の中で一番クールな場所だと私は思う。そんな空間に包まれた作物を最後に誰かに渡す時に大切に包んでみましょう、という具合に伝えてみた。いざ折り始めてみるとはやりちょっと難しいようでほとんどの人が無口になった。いつもの笑顔は完全にきえて無表情になる人も多かった。うまく折れなくて悔しそうにするひと、手を留める人、などなど。とはいえ、なんとか完成。
そして次のグループ、こちらのグループはもう少し難易度を上げて花包みと両輪結びをやってみることに。これは昨日3名の人に実際やってもらっていたのでなんとかなると思っていたのだ。まずは誰か(家族、友人、恋人など想像しながら)に贈りたい花を絵で描いてもらう。次にそれを包む。花を描く、折形で包む、そこまではなんとか出来た。問題は水引だ。日本での研修をしてくださった長田さんからも「水引は難しい」と念を押されていたのだが少々無理を言って教わったものだ。合わせて6工程ほどで両輪結びはできるのだけど結構難しい。4工程目くらいのところで、徐々に黙り込んでいく皆の顔をみていて私はついに教えるのを諦めた。

「その後は自由に結んでみてください。」

一人ひとりみながら結んでみるが、教えるというより私が結んで周っているようになってしまい、あまり意味がないなと思った。正直、少し投げやりになっていたと思う。自由に結ぶ、それはそれで面白い結びかたが生まれて結果オーライなのではないか。だが意見を聞いてみると、最後までやりたと主張してする人が多かった。その気持ちにおされ最後まで教えることにした。ただ、一人ひとりに結びを教えようとすると既にからまったものを一度解かねばならずちょっと心が痛む時間であった。うまく伝わらないことのもどかしさをCaminosにきてから一番実感した日だった。いつもめげずにわたしに話しかけてくれるのに、私は途中で伝えるのを諦めてしまった。
新たな造形を生み出すのも面白いと思う、だが折形や水引の結びはその手順自体に意味があるのでそこを変えてしまうのは出来る限り避けたい。その中で一体どんなことができるのか。難しいことに挑戦してみて心が揺れる1日だった。




時間が余ったので展示会場に必要な花の絵を描いてもらった。






ご飯を食べていると昨日、花包みをした1人が食堂にあった紙でお花を作って私にくれた。彼のお姉さんが折り紙で花を作ってくれたことがあったそうだ。私は後でこれを包んでみた。




パブロさんからのギフト
森の中でみつけたものをたくさんもってきてくれた。見たことも行ったこともない森のことを採集物から想像するのがとても楽しい。杉やヒノキがあることがわかってなんだか親しみが湧く。そしてたくさんのエアープランツ。こちらでは木が弱るからといってむしられるような存在だそうだ。私は先月園芸店で600円のエアープランツを買ったばかり。笑




何かのボタン
部屋で今後の制作についてまとめていると、普段部屋にやってこない人が突然部屋にきてこれをくれた。一体何が起こるかわからないところが面白い。今後の制作も想い通りにはいかないかもしれないがその未知な時間がとても楽しみになった。

いろんな人からいろんな予想外のものをもらう、自然と勇気がわいてくる。




少し早めに帰って街で買い出し
初めて1人で買い出しに行く。マミさんに教えてもらったウルグアイ駅の近くの紙屋さんへ。
家族で経営されている様子。カードで購入したあと「ハポン?」と聞かれたのでそうだと答えると「ARIGATO」と笑いながら言ってくれた。余談だが寄り道した雑貨やさんで金運があがるというアルゼンチンの石を購入。他のものと合わせて75ペソ。石自体は25ペソだったが持ち合わせの現金が足りず諦めようとしたところ、お店の人がジェスチャーで“いらない、いらない。”というので結局無料でもらってしまった。いきなり金運が上がったかもしれない。




部屋を日本に見立てるための実験




マミさんに協力してもらいながらプランをまとめた。